Protest System

iRacing.com 最新ブログ記事で、社長の Tony Gardnerがプロテストシステムについて書いていました。

iRacing.com | iRacing.com Protest System (June 2, 2010)

プロテストを日本語に訳すと抗議・異議申し立てといった意味になります。たいていレース競技規約にはProtestの項目が含まれていて、iRacingの場合は競技規約(FIRST Official Sporting Code)の8章で、その提出方法やプロセスについて記されています。

Tony Gardnerのブログ記事以下に和訳して紹介します。日を分けてババッと訳していってほぼそのまま、レビューに時間を使えてないので、誤訳他お気づきになられた点がありましたらご指摘ください。

メンバーフォーラムで、プロテストシステムが話題になっているのをよく見かけます。我々の競技規約に触れたメンバーへのペナルティに対してとても柔軟であることはさておき、そのシステムの有効性を問うコメントをよく見かけます。実際、私も最近のOpen Practiceセッションで無謀運転をするドライバーを見たとき、誰かがそのドライバーはプロテストされるべきだと言っても、「それは聞き流されるしiRacingの誰もそれをやらない!」と口を揃えて返ってきていました。

その時、プロテストに関するいくつかの情報と我々のアプローチを公表すべきだと思ったんです。

まず最初に、どうしてプロテストシステムがあるのでしょう。おっと、基本的な目的を言及する以外、退屈させるつもりはないですよ。コンピュータソフトウェアであるシムは、レーシングアクシデントの責任という観点を持たないし、毎週繰り返される1,000以上のオフィシャルレースを我々が直接モニターするのは無理があります。Open Practiceや他のレースイベントについても言うまでもありません。シムがそういった責任を判定することができないのは興味深いと思いますが、おそらくこれは今回の話しにはしない方がよさそうだけれど、非常によく考え抜かれた洗練されたモデルと厳格にエンジニアリングされたソフトウェアであったとしても、それについてはそれほど良い結果にはならないでしょう。

そういったわけで、繰り返される無謀運転に関する論争を別レベルへと切り離して、iRacingを皆が楽しめるよう保つ必要がありました。インシデント・ポイント、セーフティ・レーティング、ライセンス・クラスのシステムは、レーシングをクリーンに保つよい仕組みです。90%はこのシステムによってカバーできていると、個人的には思っています。それでも、故意にクラッシュしたり慢性的に制御を失っている他のドライバーから何かを感じ、シムレーシングでどうあるべきかを学び、メンバーが次のステップへ進んでいくための機会を提供するひとつの方法として、プロテストシステムは必要です。

次に、高揚したメンバーがレーストラックの内外(フォーラムやボイスチャット等)で白熱して他のメンバーの楽しみをめちゃめちゃにしてしまわないように、それに代わって非公開に論争を終わらせたり折り合いをつけるためのプロセスが必要でした。健全な討論は良いところもあるけれど、多くの人はその二人の間で繰り返される長い議論は聞きたくありません。同様に、中傷や不快な言葉に抗議するための場も必要です。

最終的には、我々はそのプロテストによって、モデレータ(議長/仲裁者)、コーチ、カウンセラー、しつけ役、レース・インストラクター、レーシング・オフィシャルなどの異なる役割を果たすことになります。個々のメンバー間の個人的な事象に対して、審査員、陪審員や、肘掛け椅子に座った精神科医、といった役割は果たしません。

多くのプロテストは単にレーシング・インシデントについてであり、メンバーは適切な書式でそのインシデントを十分に表現して、競技規約のどの部分についてプロテストしているのか、を明記して提出する必要があります。ほとんどの場合、リプレイなどはその証拠として扱われます。リプレイがなくても、プロテストする側とされる側両方が申し立てられるでしょう。また、個々のメンバーをボイス/テキストチャットに連れ出して、直に何を言っているか聞いて明らかにすることもあります。

メンバーシップフィーを失うことになるからiRacingはアカウントを停止したり追放したりすることはない、というよくある誤解は一掃しておきましょう。それはまるで見当違いです。実際我々自身こそ適正なビジネス人だと思いたい。そうなら、多くのメンバーのためのiRacingを荒らして、その人物ひとりのために顧客を失う可能性があるかもしれないのに、その人物のアカウントを停止したり追放したりしないでしょうか。わたしは1人のメンバーシップよりも多くのメンバーシップを取りますよ。

一方で、我々が圧制的でないのも真実です。まず第一に、我々はサービスビジネスをしているので、良いサービスを提供したいし、全員に敬意をもって平等に待遇したい。我々にとってはすべてのメンバーに高い価値があるのだから、少しの悪意もないことを見つけようともせずに、または、まず問題を客観的に理解しようとせずに、誰かを追放するなんてことはしません。どうしてその人物は他の人にぶつけたのか? 彼らは自身のミスから学ぶことができるだろうか? 彼ら自身のドライビングミスから学習する機会を与えられるべきではないのか? そのときのドライビングが単に彼らの能力を超えてしまっていただけではないのか? その事故は1回だけのことなのかしょっちゅうなのか? その人物は故意にやったのか? 事故の本質は何でどういう状況だったのか?

話は両サイドから聞きたいです。でも言ったように、レビューするにあたってはリプレイが本当に重要です。メンバーはもっともな気持ちでiRacingコミュニティにおいてポジティブにあろうとしているのをしょっちゅう見かけます。その一方で、時には彼らのスキルが情熱や願望にマッチするまで、ちょっと時間がかかることもあります。それはできるだけ事実を見て、双方にフェアであるように、サービスを熟考する必要があることを意味します。弁明によって当事者は時間を稼げるかもしれませんが、改善しないのなら、それはある程度でしかありません。

事実をすべて承知できない、つまり適切な情報と一緒に提出されなかったり、リプレイ映像や有効な証拠がない場合には、結論が出ないことがしばしばあります。先に述べた通り、どのプロテストについても、関連情報やファイル、メール、会話などがCRMシステムでトラッキングされ、新しいプロテストがあればそれらが参考にされます。それらの因子は我々の決定にも大きく影響します。我々はプロテストされた人だけではなく両面から、すべてのプロテストをトラッキングします。

多くのメンバーに対する多くのプロテストが数ヶ月や数年の間広がったり、ただ一つの発生であったりします。多くの場合、メンバーはちょっとしたコーチングや教育や注意だけでよくなります。またあるときは、親切なあるいは厳しい注意でうまくいきます。

我々の指針を現実世界で類似するものを見つけようというなら、Skip Barberレーシングスクールのアプローチが我々が行っていることにたぶん近いでしょう。メンバーが故意にぶつけたという証拠が明らかでないのなら、彼または彼女にそのような間違いを再び起こさないよう指導し、またはその間違いを指摘して将来その間違いを克服できるように支援しようとします。場合によっては、続くアクションまでに注意し続けることも必要になるし、それがサービス全体にも最良ともなるのです。

それは、我々がプロテストですぐにメンバーのアカウントを停止したり追放したりはしない、ということではありません。レーストラックを行ったり来たりしたり、右へ左へマシンを狙い撃ちしたり、レース中に逆走したり、といったビデオを受け取ることがありましたが、そういった場合には我々は直ちにそのアカウントを停止しました。

また、フォーラムやレースチャットでの事象からアカウントを停止することもできます。ただしコミュニケーションに問題があっても、ドライビングがクリーンならレースを続けることを許すことはしばしばあります。

誰がプロテストされたとかアカウント停止されたとか追放されたとか、その名前を挙げたくはないし、その必要性も感じません。我々の見解では、それが我々の目的達成の助けとなることはありません。とはいえ、多くのメンバーが興味を持っているので、プロテストシステムについていくつかの一般的な統計を提供しましょう。2008年の夏に一般公開してから、適切に提出されるプロテストは1ヶ月間に平均して133件。プロテストが提出されるごとに我々はケースを開き、そしてクローズされなければなりません。またそれ以外に、不備があってメンバーに差し戻されるプロテストが月に平均して100件あります。この場合はケースは開かれません。

最近の例では、1月には144件、2月には124件、3月に122件、4月に168件、ケースが開かれました。毎週毎日、レースセッション数とレースしている人数を考えれば、率直なところ、予想していたよりもそんなに悪くはありません。

我々はプロテストに関わる全員にプロテストを受け取ったことを通知します。そしてプロテストされた人物へ結果を通知して、ケースをフォローします。
実際のところ、プロテストされた人々のうち、70.46%がプロテストによって結論が出たかどうかや責任があったかどうかに関わらず、将来似たようなインシデントを避けられるようになんらかの個人的なコーチングや指導・助言を受け取りました。14.86%はインシデントとしては記録されたものの、非はないと結論づけられてコーチングや行動指針の勧告もなしに終わりました。2.51%については我々はそれを取るに足らないことと判断した。そしてこれまでに11.02%を、何らかの方法、色んな期間で、アカウント停止処分にしました。最後に、1.15%を復帰させるプランのない無期限アカウント停止処分としました。無期限のアカウント停止は永遠に、ということも意味しますが、我々は長い時間を置いて見直した後、再びドアを開けられる機会を残しています。

それはそうと、単なる思い付きなんですが、プロテストに関する一般的なお知らせとして述べておきます。これまでに3,000以上のケース/プロテストを扱ってきたことで、我々は価値あることを学び、そのプロセスやアプローチは確かに向上しました。今後も我々はさらに学習していくし、向上を目指していきます。やってみなくちゃ分からないけど、たぶん更なる自動化はいつか必ず不可欠なものとなるでしょう。これまでに3,000以上のプロテストを提出するために、また我々とのその件を進めるために、時間をとってくれてありがとうございます。結果に対して、いつも機嫌がよくなるわけじゃないことは分かっています。それでも、1年前に比べれば、我々のそのプロセスはとても上手になったし、本当に皆が関与するより良いサービスになっていると、私は思うのです。

クリーンな良いレースをしましょう!