V7タイヤ

日本時間で 2019/12/09(月)夜のメンテナンス明けに配信予定のパッチには、v7タイヤに関するものが含まれるようです。その来るV7タイヤパッチについて、iRacingの車体開発エンジニア(Senior Vehicle Dynamics Engineer) Eric Hudec によるNASCARカップカーフォーラムへの投稿を和訳して紹介します。ストックカーに関するものとしての投稿ですが、ロードも含むV7タイヤ全般に影響する内容のようです。

V7 information as it pertains stockcars
https://members.iracing.com/jforum/posts/list/3682032.page


V7タイヤが現在オーバルカーにどのように機能しているか、今何に取り組んでいるのか少し説明しておきます。

Tire Fall-off

特定のレーストラックに応じて、現実世界のパフォーマンスと比較してタイヤはフォールオフが予想よりもあったりそうでもなかったりします。トラックにはスキャンで拾われた粗さの違いがありますが、すべてが同じ表面摩耗があります。現実ではまったく当てはまらないのでリアルとiRacingには明確な違いがあります。あるトラックでは速かったり遅かったりするでしょうし、形状や距離には違いがなくても、トラック路面のコンディションや古さ、素材などによって、他よりも摩耗が多かったり少なかったりするでしょう。我々は以前のタイヤ開発ごとに個別のトラックのグリップレベルの違いを変えるように処理してきて、それはペースを速くしたり遅くしたりデグラデーションに影響を与えるのには十分な手法でした。V7タイヤは異なる方法でトラックと対話するため、新しいメソッドが必要でした。現在もその作業を進めているところです。したがって、当分の間は、多くのトラックで速かったり遅かったり、フォールオフが少なすぎたり多すぎたりするでしょう。アトランタのようなV6以前での大きなグリップと大きなデグラデーションが取り除かれて他の通常のものとは異なる大きな差が生じる例外もあります。この場所が新しい舗装でどれだけ速くなるか想像してみてください。

タイヤウェアとフォールオフはトラックジオメトリとラバーの乗り方に直接リンクしていることを注意点として伝えておきたいです。あるトラックでは低温でラバーが多い状況ではフォールオフとウェアの摩耗は本当に小さなものになります。そしてそれはとても高温でラバーが少ない状況で起こりうることとトレードオフです。多くの場合、燃料全部使い切るまで走り続けるのは難しいでしょう。タイトだったりルースだったりするマシンを懸命に走らせると、タイヤは早くだめになります。それは観察して調整し続ける細い綱渡りです。今度のパッチはゴールポストを少し動かします。しかしアトランタがカップカーや他のマシンのホットラップにワイドオープンになるなんて期待はしないでください。言及した理由以外のことは起こりません。そのトラックの異常値をなんとかするために調整が必要なのです。

Cold tire performance

コールドタイヤのパフォーマンスに関して報告されている問題はコンディショニングと呼ばれるものが原因です。基本的に、これはタイヤの初使用時に急速な軟化が発生するときの最初のスクラブと負荷をかけたときに生じるタイヤの荒れに関係しています。我々のタイヤはコンディショニングが十分でなく性能を発揮するまでに時間がかかりすぎています。初期の走行フィールを向上するために懸命に努力してきましたが、まだ素晴らしい解決策を見つけられていません。しかし、いくらか熱を与えることでタイヤのコンディショニングを加速することは分かっているので、初期状態に何かを与えるためにV7タイヤを搭載する全ての車両により高い温度設定のタイヤウォーマーを与えることにしました。この現象はおそらくベストラップまでに数周余計な周回が必要になる理由を説明しています。

Temperature readings

タイヤがどれだけ熱くなるかについて解説がされていました。タイヤの温度と言えばタイヤ全体を1つの温度で表されるものではありません。そこには熱の流れや勾配があり、違った部分では他よりも熱くなったり、急激に変動する可能性もあります。ガレージ画面で見ることができる温度は実際のプローブ温度よりも低くコアカーカス温度に近いですがそれでもタイヤ内側のカーカス表面の読み取り温度でもありません。結局のところ、適切な温度に適切な温度勾配角度で到達させることが重要なのです。基本的に、我々のタイヤは走行時にまだまだ冷たすぎ、熱くなりすぎず、場合によってあるべき空気圧に達していません。例えば右側のインターミディエイトタイヤ空気圧が 25psi 上昇して 50psi で 100 F になるなら内部の空気温度は 380 F に達する必要があります!。基本的に我々はタイヤのあらゆる場所でより良い温度と熱の流れを得られるようにモデルの改良に努めていて、そしてそれを行う都度、よりクラシックなプローブ計測と似たレポートを受け取るのです。

What’s working well

タイヤにもっと熱を与えることもできます。これは過去の懸念事項でしたが、グリップの損失が大きくなりすぎないよう、あるべき温度よりもかなり低く保つ必要がありました。V6以前と比較して、ナイフエッジの応答性はかなり小さくなっています。

V7では、実際のタイヤと同じように、より広い範囲のスリップバンドを介してグリップをより合理的に変化させて、温度を上げることができます。初期のシャープな傾斜上昇と過去のナイフエッジなピークパフォーマンスを制御しようとするのでなく、スリップバンドのプラトー(変化がない段階)によってより長い時間をかけるためにタイヤのニュアンスを感じられます。スリップカーブは一般に今でははるかに正確になっており、より良いコンディショニング制御が得られたらそこにトレードオフがあるためさらに改善できます。

アグレッシブなドライビングにはあなたがそこに何をしてきたかの履歴があり、結果があります。オーバードライビング、ついでに言えばアンダードライビングも、それらがタイヤのライフとパフォーマンスに影響を与えます。このバージョンのタイヤモデルは、ドライビングスタイルとドライバーの車両へのアプローチからかなりダイナミックに影響を受けることが示されています。V6タイヤはとても静的で、実際に良いペースへの道はたった1つ、ドライバーの観点から時間を補うことはほぼできませんでした。テストでは、V7ではこれが当てはまらないことが示され、ドライバーの意思でタイヤを温存してアタックすべきポイントを任意に選ぶことができるようになりました。ドライバーは序盤に温存しておいたタイヤで終盤に速いペースで走ったり、中盤に必要なだけ温存することもできるし、序盤のアタックによって終盤により大きなデグラデーションに見舞われることもあります。

タイヤとシャシーのバランスを保つために車をセットアップすることがレースストラテジで非常に重要な部分となることは明らかです。長い時間タイトまたはルースなセットアップでドライブすると、それによって支払うべきバランス変化とデグラデーションに気づくでしょう。
シカゴランドやテキサスなどのインターミディエイトトラックで、カップカーのスロットルをワイドに開けすぎると右フロントタイヤは簡単に溶け落ちてしまうし、リッチモンドやシャーロットローバルではリアタイヤを焼いてしまうとリアタイヤの駆動力の不足に見舞われます。

Finally

素晴らしいことに、今回の開発の最終局面、そして短いパッチ調整期間でさえ、本当に良い発見がありました。タイヤ性能の非常に重要ながら繊細な側面をよりよくモデル化する方法に関連した大きな改善点をいくつか特定できました。
我々はより詳細な点に取り組んでいるので、現実世界のタイヤが描かれるのと同じ方法で、より良い車を簡単に送り出せるようになります。それは現在の形式で調整できる以上のものなので、かなり満足しています。この先対処する必要がある多くの調整が必要なねじれもありますが、得たものでできることは以前のモデルよりもはるかに多くなります。


その後このトピックに投稿されたリプライからもいくつか紹介。

  • 個別トラックごとにタイヤをビルドするキャパシティはないし現実的でないしそもそも開発の方法としては違うと思う。タイヤメーカーは何百ものタイヤオプションを持っているものの、それらのタイヤ同士は似ていて違いはわずか。もっとも大きいのはトラックが違うということ。そして解決策に取り組んでいる。
  • すべての車両のタイヤにアップデートを適用する。
  • これまでのところ空気圧は低い方がおそらく良いと思われていますが常にそうとは限らない。開発で把握しているものがある。
  • タイヤウォーマーのなかった車には新規に与えられ、もともとあった車両では温度設定が高められる見込み。
  • LRタイヤを壊すとリアのダウンフォースが増して速くなる問題はバグ。こうしたバグを見つけることが最優先事項ではありません。フラットタイヤは回転ドラッグから本来よりも多くのグリップを生じることがありますが、レースコントロールがフラットタイヤをダメージと見なしてオレンジディスクフラッグが提示されるようになります。