Red Bull GRC – iRacing インタビュー

https://twitter.com/RedBullGames/status/950298856037732354

Red Bull Games が iRacing.com 副社長 スティーブ・マイヤーズへのインタビュー記事を掲載しています。

Find out how Red Bull GRC makes iRacing the rallycross sim to beat
https://www.redbull.com/int-en/iracing-red-bull-grc-interview

すぐに時間がとれず2日ほど経ってしまいましたが、興味深い内容が含まれていますので、以下に和訳して紹介します。

最初に、iRacing のサービスに GRC マシンを再現するのはいかがでしたか、他の形式のレースカーと比べてどういった違いがあったでしょうか?

iRacing では、マシン開発のために長い要求仕様書があります。この点では GRC マシンも他となんら違いはありません。ただ今回は、アンドレッティ・オートスポーツ・レッドブル GRC チーム所属のリードエンジニアであるグラハム・クインと、レッドブル GRC チャンピオンに 3回輝いているスコット・スピードが、マシン開発(特に VW ビートル)に協力してくれたのが大きかったです。iRacing の大ファンでもある彼らも、マシンを正確にモデル化したいと考えていました。

グラハムとスコットの二人がマシンをドライブして、できるだけ正確に再現できるよう驚くべきフィードバックを提供してくれました。インディアナポリスのレースウィーク前、スコットはシムでかなりの時間ドライブして我々にフィードバックしてくれたあと、その週末には見事に優勝したので、グラハムに冗談でシムのおかげだとメッセージを送ったんですが、「それを自分達も話していたんだよ!」という返事が返ってきたんですよ。これには開発チームもかなり気を良くしていましたね。

GRC マシンの導入で最もチャレンジングなのは何でしょう。iRacing の他のマシンと比較して、どのようにドライブするのでしょうか?

間違いなく最大のチャレンジはトラックであり、その開発プロセスは 2016年、ダイナミックトラック(動的に変化する路面モデル)とダート・オーバルの開発から着手していました。レーザースキャンやダイナミックトラックモデル及び特にダートの振る舞いなどは画期的なもので、私達は常に新しく素晴らしいテクノロジーをレーシングゲームに導入する最前線にいます。

私達はレッドブル・グローバル・ラリークロスのイベントから始まる DIRTnight と称した素晴らしいレース中継も行っています(米国時間の金曜夜)。中継を観れば、セッションが進むにつれトラックが変化していく様子も分かります。引きづられ飛び散った土埃が積もったり、あるいは削られてその下のアスファルトが顔を出したり、というのは私が知る限りどのダートレーシングゲームでもこれまでできていなかったし、これが iRacing を際立たせています。その実装は簡単ではありませんでしたけれどね。

マシンの走らせ方としては、私は以前はダートの上でマシンを振り回すのが速いと思っていましたが実はまったく逆でした。GRC でもダートオーバルでも、速く走らせるためにはスライドは少なくする方がよいのです。特に GRC マシンでは、ダートセクションでは進入でスローダウンしてコーナー脱出のトラクションを稼ぐのは、とても難しいです。

iRacing コミュニティからは GRC マシンに対してどのような反響がありましたか?

正直、反響は予想を超えていました。これまでリアルと呼べるダートレーシングゲームは存在せず、ゲーマー・コミュニティには不十分な状況でしたが、今年 iRacing がダートオーバルとレッドブル GRC をリリースしたので、現在ではそのサービスに群がっています。需要に対して新しいコンテンツが追いつくのが難しい状況です。

iRacing にいくつか GRC レイアウトが登場しましたが、新規開発のサーキットはあるのでしょうか?

GRC 用には既存のトラックに新しいデザインを追加して作成しました。レッドブル GRC シリーズの好きなところはどこでもレースができるところです。理論上、既存トラックで作成したトラックは現実に使用できる可能性があります。新しくリリースしたノックスビルのようにイチからトラックを開発するとしたら、レーザースキャンと何千枚ものアートワーク撮影を実施したあと、完成までに約4ヶ月が掛かります。

既存トラックにラリークロス用のレイアウトを追加する開発なら、およそ半分の期間で行えますが、その大部分はレイアウトが楽しくチャレンジングかどうかを確認する作業となります。このプロセスでは、タイヤスタックやジャンプの位置、ダートの深さに至るまで、スコット・スピードも実際にドライブして非常に役立つフィードバックをしてくれました。

SUBARU coming to iRacing this year


https://www.youtube.com/watch?v=S0cMv0yUPGo

今後 iRacing で GRC マシンやトラックは増えますか?

えぇ間違いなく。実のところ、ヨーロッパで最初のラリークロストラックとサインしたところです。ただデータ収集を始められるのは春以降になりそうです。そして今年中にスバルがバーチャル・レッドブル・グローバル・ラリークロス・シリーズに追加されるでしょう。すでに開発に入っています。

また、いくつか追加のラリークロスレイアウトをデザイン中です。3月のビルドでは少なくとも1つはリリースしたいですね。私達は年に 4回のメジャーリリースを行うので、およそ3ヶ月に一度は新しいコンテンツが登場することになるのも、私達のビジネスモデルの利点のひとつでしょう。難しいのは、iRacing の数多くのレースシーンでコンテンツをバランスさせることです。

開発中に気に掛けるシムやゲームはありますか? 特にどのタイトルが気に入っていますか?

デーブ・ケマーは30年開発をやっています。そして多くのメンバーが 20年近く一緒に働いているので、レーシングシムで何をやるべきかや、どんな内容にするかといったことについて、自分たちで考えていないことがほとんどありません。

個人的には、レース以外のゲームをするのが楽しいです。革新的でユニークなアイデアをもたらしてくれるので。今日は「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」がこれまで見た中で一番のチュートリアルがあることについて少し話しをしましたよ。我々のユーザーエクスペリエンスをデザインし直したり、新しいウェブサイトやUIシステムを公開していく際のレッスンやアイデアとなります。

iRacing の中で好きなマシンはどれですか?

それは子どもにどれが一番好きか聞くのと同じようなものだね。私がしていることで私の好きなことのひとつは、我々がどの車もできるだけ現実そっくりに作り上げようとしていることです。なので、どの車もドライブするとユニークな特性があります。

例えば、デーブ・ケマー自身が実際に1000周は走らせたスキップバーバーRT2000は、おそらく最も注意深く開発されたマシンでしょう。新しいタイヤモデルや車両力学コンセプトのテストをするのにも、彼は扱い方をよく知っているこのマシンを使っています。顧客もこのマシンを好きだけど、私はまったく我慢なりません。繰り返しますが、我々がこれらのモデルを作成するにあたり、スキップバーバーはオン・スロットルでドライブする必要のある車両ですが、私自身のドライビングスタイルには合わないですね。

Short-course Off-Road Trucks project starting


https://www.youtube.com/watch?v=ScgZP8RHnVU

iRacing に追加するマシン・トラックをどのようにして決めるか教えてください。iRacing コミュニティはどのように関与しますか?

私たちが持つ素晴らしいコミュニティは、望みに対して非常に声高であり、それがアイデアを生む素晴らしいツールとして働きますが、同時に、私たちは研究開発費用のリターンを最大化したいとも考えています。私達はダイナミック・トラック・サーフェスのプロジェクトのあとで直ちにダートレーシングの作業に取り掛かりました。テクノロジーを作り出したエンジニアがそのプログラムコードをよく把握しているからです。これがダートオーバルと GRC に繋がり、そして今年、もうひとつのプロジェクト、ショートコース・オフロード・トラックへと通じていくでしょう。

何を追加すべきか検討する別の手がかりは、皆がレースしているものです。我々のサービスは全面的にオンラインなので、どこで何が使われているかデータを収集することができ、次に作成するものを決定する助けになります。早い時期にオーストラリアが巨大なシム・レーシングのマーケットと判明したので、バサーストやオランパーク、フィリップアイランドとV8スーパーカーズの開発に繋がりました。

最後に、GRC はどのようにして他と匹敵するレーシングシリーズになるでしょうか?

ひとつレッドブル GRC がテーブルに載せたことで私が好きなことは、そのレース形式と個性的なマシンとトラックで、それは eSports におあつらえ向きです。ヒートレーシングによって、1時間のオンライン中継は他のテレビ中継と同じかそれ以上に面白くなります。ユーチューブの iRacingTV チャンネルで自分が映るのをチェックしましょう。

私はこれがシム・レーシングがこれまでにない革新的で独創的な機会へと導くものだと考えています。二人のビッグスター、ミッチェル・デジョンとスコット・スピードが iRacing の提供する GRC の正確さをべた褒めしたとき、私たちはこのレース・フォーマットを再現する良い仕事が出来たのだと思いました。